サッカー日本代表において、
かつてサッカー評論家や解説者がよく口を揃えて言っていたこと、
「もっと海外でプレーすべきだ」
「国内の強化試合ばかりでなく、国外(アウェイ)で試合経験を積むべきだ」
「だから日本代表はアウェイで勝てないんだ」など、よく耳にしていました。
最近は海外でプレーする選手も多くなり、
昔ほどそのような声を聞くことはなくなりましたが、
それでも未だに「強化試合はアウェイで」という声などは少なくありません。
それはやはり日本代表がワールドカップにおいて予選突破以降、
ベスト16からの強豪相手になると勝ちきれないというのが大きな理由でしょう。
ではなぜワールドカップにおいてベスト16を超えられず、
「アウェイで弱い」などと言われてしまうのか。
技術的、専門的なことは評論家や専門家に任せるとして。
コーチングの観点から観ていきたいと思います。
【目次】
アウェイで弱いと言われてしまうこと
どんなスポーツにも共通すること
サッカーに限らず、野球やバスケットボール、バレーボールなど、どのスポーツにも共通して言えることは、過去の試合や練習、ミーティング、選手各々のイメージトレーニング等を行い、それらの記憶を統合し予測を立てながら試合を行っています。
サッカーの例
例えば、サッカーですとこれまでの過去の経験から
ボールを持った時にはこのような行動を、
ボールを持っていないときは、相手DFがこういう動きをする傾向にあるから、裏のスペースへ飛び出す動きを。
というように過去の情報を使い常に予測を立てながら行動しています。
野球の例
野球で例えるならば、投手側からの視点は、このバッターは過去のデータからインコースに強いから、どんな球種をどこに投げるのか。
バッターの視点からは、自分は体のどこに重心を置き、どのようなバッティングフォームでバットを振るのか、このピッチャーはどんな球種を投げどこに投げてくるのか。球のスピードはどれくらいか等を常に予測しています。
もう一点、これらのスポーツにおける予測に共通して言えることは、
ほぼ全てを無意識で行っているということです。
ここまで練習を重ね、いつものように試合に備えているにも関わらず、
なぜアウェイでは弱いなどと言われてしまうのでしょうか。
スポーツとコンフォートゾーン
それは、コンフォートゾーンにあります。
コンフォートゾーンについては前回紹介したブログ『“どんな状況でもパフォーマンスを発揮するには”』に書かれておりますので、そちらをご覧ください。
Home&Awey
ホーム&アウェイといわれますが、
ホームは家。いつもいる場所=馴染みがあり、落ち着いて試合を行える場所ということが言えます。
それとは対象的に、アウェイではいつもと違う場所、環境が違う落ち着かない場所として認識してしまいます。
ホームではコンフォートゾーンの中で相手チームと戦うことが出来ますが、
アウェイでは、頭の中で落ち着かない場所として認識されてしまうと、
コンフォートゾーンの外として認識されてしまいます。
では脳にコンフォートゾーンの外として認識されてしまうと、どうなってしまうのか。
コンフォートゾーンの外
まず、コンフォートゾーンの外にいることで自分の記憶から情報を引き出せなくなってしまいます。
以前書いたブログで紹介した例です。
ビジネスにおける例
会議には本来出席するはずのない社長が飛び入りで座っていたとします。
ブログ『“どんな状況でもパフォーマンスを発揮するには”』より
まさに想定外で、自分がイメージしていた会議よりもハイレベルな状況と感じてしまうことで、不安や緊張が生じ…
このようなビジネスの世界でも、
会議を行う際、準備万端で話す内容を決めていたにもかかわらず、
本来はいるはずのない社長がいることで、
うまく話せなくなってしまったという経験をお持ちの方も多いと思います。
インプット
またコンフォートゾーンの外にいることで、
本来のパフォーマンスに関わるアウトプットだけでなく
インプットも遮断されてしまうため、
皆様も経験があると思いますが、
緊張で周りの声が聞こえなくなるのは、
このような作用が働いているからなのです。
スポーツで例えると、監督やコーチから指示を受けても、
その内容をうまく受け取ることが出来ず、
それが結果へと繋がってしまうのだと思います。
身体に起こる影響
さらに3つ目の影響として、
肉体的な緊張も生まれてしまうため
動作がぎこちなくなってしまうのです。
プロスポーツの世界でも実力は拮抗し
時には格下相手であっても大量失点でありえない点差が付くことがありますが、
これら3つの条件が重なることにより、
そのような自体が生まれてしまうのかもしれません。
アウェイで勝ち抜くには
以前に紹介しましたが、コンフォートゾーンはセルフイメージによって決まります。
セルフイメージを高めることによりコンフォートゾーンを広げ高めていくのです。
アウェイでも勝ち抜くには、
ホームと同じようにアウェイでも戦えるマインドが必要となります。
サッカーにおけるマインドの使い方
サッカーに関して個人的に少しだけ技術的な部分に触れさせていただくと、
ここ20年で個々のレベルは、明らかに上がってきていると思います。
それでも、過去を超えられないのは、マインドの使い方なのかなとも感じています。
ここ10年で海外でプレーする選手も増え、
アウェイでも戦える選手は増えてきていると思いますが、
それでもベスト16を超えられなかったのは(2020年現在)、
選手個々が持っている無意識のコンフォートゾーンが
予選突破で止まっているからなのかなとも感じてしまいます。
以前、岡田監督がベスト4を掲げていたことが批判されていましたが、
このようにゴールを現状の外に置き、
ブリーフシステムを変えることでセルフイメージが変化し、
それがコンフォートゾーンとなることでパフォーマンスに現れるのです。
個人的にはもっと高いゴールを設定しても良いと思いますが、
もしかしたらベスト4はメディア向けで、
岡田監督自身もっと高いゴールを設定していたのかもしれません。
これを選手個々がセルフイメージを高めコンフォートゾーンを広げることにより最強のチームが出来上がると確信しています。
それこそがコーチングの役割です。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
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